【スカッとする話】義母謎の水 怪しい水にハマった義母が怖い【義母】

三香子(みかこ)には不安に思っていることがある。それは、義母が謎の健康法を信じていることである。
三香子が洋介と結婚の挨拶をしに義実家へ行ったとき、変な形のボトルに入った水が大量に飾られているのを見た。
この謎の水を自分にまで勧めてきたら嫌だな、と常々思っていた。
「ねぇ洋介、お義母さんってなんか変な水にハマってない?」
「あー…なんか健康になるって言って、本人は嬉しそうに飲んでいるけど…」
「あれ、大丈夫なのかな?詐欺とかに巻き込まれてないかな」
「もういい年なんだし、自分で善悪の区別はつくだろ」
「そうかな…」
三香子のこの不安は、後々に的中することになる。

ある時、三香子の腹部に腫瘍が見つかった。良性か悪性かわからず、手術で摘出することになり、三香子は入院をしていた。
お見舞いに来た義母の手には、例の水が握られていた。
「三香子さん、これを飲めば腫瘍なんてなくなるから!」
義母は興奮気味に水を押し付けてくる。
ついにきたか、と三香子は戦々恐々とした。
「具合が悪いとき、これを飲んだらすぐ治るのよ。私は毎日1本飲んでいるから、今は病気や怪我一つないのよ!」
「お義母さん、ありがとうございます。気持ちだけで大丈夫ですから…」
「いいから!飲みなさい!」

三香子は手渡された水を飲むフリをした。
義母は満足そうににっこり笑い、その日は帰って行った。
次の日、義母はまた三香子のお見舞いに来た。義母の後ろに見たことのない女性が2人立っていた。
「お義母さん、その方々は…?」
「お水の素晴らしさを、三香子さんに教えてくださるって。わざわざ来てくれたのよ」
女性達はギラついた目をしており、貼り付けたような笑顔で一気に捲し立てて喋ってきた。
「さ、三香子さんもこの水を定期購入しましょう!この水は霊験あらたかな山の水で…」

「今なら定期購入が安くなっていますよ!」
三香子は思わず大きなため息を吐いた。
女性達の正体も謎であったが、知らない人を病室に連れてくる義母にもがっかりした。
「…ちなみに、その水はおいくらなんですか?」
「1本2万円です。お得ですよ、これで病気知らずなんですから!」
高い、と喉元まで出た言葉を飲み込み、三香子は洋介と相談する、と適当なことを言って全員を追い返した。
義母があの水にいくら費やしたのか不安になり、三香子は急いで洋介に連絡を取った。
洋介が義父とともに通帳を調べたところ、なんと義母が管理していた口座にはほとんどお金が入っていなかったそうだ。

次の日、また水を持ってやってきた義母に、三香子は詰め寄った。
「お義母さん、その水にこれまでいくら費やしたんですか?」
「わからないわ。必要だから買っているだけだもの」
「…こんなこと言いたくないんですけど、お義母さん、騙されていませんか?」
その瞬間、義母は顔を真っ赤にして怒りだした。
「この水を疑うなんて!この水の素晴らしさがわからないなんて!これを飲めば、その汚い心も洗われるわよ!」
義母がボトルに入った水を三香子の頭にかけ始めたため、三香子は慌ててナースコールを押した。

義母は三香子の病室へ出禁となった。
その後、三香子は無事に退院をし、義母と会うことはなかった。
風の噂によると、義母は病気の知人や親戚中に件の水をしつこく勧めているらしく、各所で縁を切られているらしい。義父も離婚を視野にいれて行動していると連絡があった。
何が義母をそんなに駆り立てたのかわからないが、自分はそうならないようにしようと誓った三香子であった。

おわり。

タイトルとURLをコピーしました