【スカッとする話】義母嘘つき 私に成り済まして商品を売ったトメ【義母】

「義母嘘つき」

十和子は趣味でぬいぐるみ作りを行っている。犬用のおもちゃを仕立てたことから始まった趣味だったが、思いの外のめり込み、今ではHPを作って依頼を受け、販売までするようになった。
旦那は応援してくれていたのだが、それを面白くないと思っていた人物がいた。
近くに住む義母である。
「十和子さん、ぬいぐるみ作って売ってるんだって?素人なのに?」
「裁縫は昔から好きだったので…細々とやっているだけですよ」
「ふーん」
義母はつまらなそうに、十和子が作ったぬいぐるみを見ていた。

ある時、十和子のぬいぐるみを発注した人が、それをSNSに投稿した。すると、多くの人の目に止まり、瞬く間に注文が殺到した。
雑誌でも取り上げられ、十和子はぬいぐるみの製作に追われることになった。
そうなった途端に義母は突然手のひらを返したかのように、十和子のことを誉めだした。
「ねぇ、十和子さん!この雑誌に載ってるの、十和子さんでしょう?すごいじゃない!」
「ありがとうございます」
「友達に自慢しちゃった!うちの嫁なのよって」
「ははは…」
興奮気味に話しをする義母をみて、十和子はなんだか嫌な予感がした。
そしてその予感は、的中することになる。

翌月、義母が嬉々として十和子を訪ねてきた。
「お友達に十和子さんのぬいぐるみを頼まれたの。作って貰えないかしら?」
「今注文が溜まっていて…ちなみにおいくつですか?」
「10個くらいかしら」
「10個!?そんなに一気に作れませんよ」
「でも、お友達が欲しがっていて。断れないでしょう?」
十和子は思わず大きなため息をついた。
「では、なるべく急いで作りますので、この口座にお支払いを頼んで下さい」
「え?お金を払うの?」

意味がわからない、という様子で首をかしげる義母。
十和子も訳がわからず、同じように首をかしげた。
「だって、十和子さんが趣味でやってるんでしょう?」
「そうですが、今は販売を行っているので」
「私のお友達なのよ?タダでいいでしょう」
十和子と義母はしばらく押し問答を繰り広げたが、どちらも納得せずに話は平行線のままだった。先に痺れを切らしたのは義母で、鼻息を荒くして怒鳴り散らした。
「十和子さんの守銭奴!お金お金って、頭おかしいわよ!私の頼みなのに!もういいわ!」
ドアを勢いよく閉めて出ていく義母を見て、十和子は再びため息をついた。

それから数ヵ月後、十和子のHPに一通のメールが届いた。
十和子が製作したぬいぐるみが、あまりにも不出来だという内容だった。添付された写真を見ると、それは十和子が作った物ではなかった。不馴れな素人が作った雰囲気がありありと出ていた。
しばらくメールをやり取りするうちに、メールの送り主が義母の知人であることが判明した。
『義母さんが、十和子さんが作ったぬいぐるみだって、知人に配って歩いているみたいです』
十和子はこのメールを見たときに、頭が痛くなった。
『私が製作した物ではありません。義母の嘘です。ご注意下さい』
十和子はそう返信した。

後日、今回の件を義母に話すと、顔を真っ赤にして怒っていた。
「十和子さんがぬいぐるみを作ってくれないから!あなたが私に嘘をつかせたのよ!」
義母の主張に、十和子は心底呆れた。
その後、知人達から嘘を咎められた義母は同じ発言をし、嫌厭され、距離を置かれているそうだ。
身から出た錆とはまさにこういうことだな、と思った十和子であった。

おわり。

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